時代のスターを追いながら、拡張し続ける『anan』の動画
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時代のスターを追いながら、拡張し続ける『anan』の動画

話を聞いた人:『アンアン』編集部・中山さんご・松永愛美

YouTubeで広がる『anan』の世界観

――『anan』のYouTube動画は、誌面やWebと連動する内容が多いですよね。その背景には、どんな狙いがあるのでしょうか?

中山:以前もビハインド動画をアップしていたりしたのですが、あまり更新頻度は高くありませんでした。でも大きな転機になったのが、2024年11月に行ったWebのリニューアルです。これを機に、Webと本誌がもっと連携できるよう体制も整えました。「『anan』らしさ」を統一感ある形で届けたいという思いがあったんです。

――動画は読者の入り口にもなりますし、誌面との相乗効果も期待できますね。

中山:そうなんです。誌面連動の企画や、誌面では伝えきれない部分を補う拡大版インタビュー、さらにはオリジナルビジュアルも動画で表現できるようになりました。動画からWebや誌面に自然に流れていく読者の動線が生まれつつあります。

 「ananへの道」企画、その舞台裏

――anan』の動画企画の中でも、特に大きな話題を呼んだのが、見取り図・盛山さんの「ananへの道」ですね。あの企画、最初からかなりインパクトがありましたが、そもそもどうやって始まったんでしょう?

松永:本当に偶然というか、ごく自然な雑談の中から生まれたんです。2024年末、別の企画で盛山さんに取材したときに、「僕でも『anan』の表紙になれますか?」って言ってくださって。「本気で頑張ってくださるなら編集部に持ち帰ります」とその場ではお話が終わったんですが、後日、吉本興業さんから「本気のようです」とご連絡をいただいて(笑)。そこから一気に企画として動き出しました。 

――まさに雑談から大きな企画に変化していったわけですね。

松永:はい。2025年3月には本格的に始動して、そこからはもう全力でした。この企画は盛山さん自身が掲げた「体重80kg台」「清潔感」「大人の色気」っていう3つの目標が前提にあるんですね。それを編集部も全力でサポートしていくというスタイルでした。

――実際に、わずか3ヶ月で約20kgも減量されたと聞きました。

松永:そうなんです。最初は「本当に頑張ってくださるのかな…?」と不安もありましたが、想像以上のストイックさで努力されていて。最終回の撮影後、「自己肯定感が高まりました」とご本人が話してくれたのが、何より嬉しかったですね。自分で決めた目標を達成した姿の美しさを、私たち自身も改めて実感しました。

anan』動画の個性と、これからの展望

――anan』の動画を他と差別化するポイントは何ですか?

中山:『anan』は週刊誌ならではのスピード感があります。それが動画にも活かされていて、例えばグラビア撮影の余韻をすぐにビハインドムービーで見せたり、盛り上がっている話題をタイムリーに発信できたり、旬のタレントさんと様々な切り口の掛け合わせでオリジナルな企画を生み出せたり。テンポのいい更新頻度と編集力が特徴かもしれません。

――そのスピード感がファンにとっての心地よさにもつながっていそうですね。

中山:そうですね。あとは、Webや誌面、SNSといった各メディアと連携しながら、同じテーマをさまざまな角度で見せていけるのも魅力です。一つの素材を丁寧に余すところなくお届けできたらと思っています。

――今後の動画展開については、どのように考えていますか?

中山:「ananへの道」はもちろんですが、他にもシリーズ化できそうな企画が少しずつ見えてきています。読者の皆さんが次回作を楽しみにしてくれるような“動画連載”もやってみたいですね。編集部にはいろんな趣味やカルチャーに対して熱量の高いスタッフが揃っているので、時代の空気感と共にそれぞれの“好き”を企画に落とし込んで、より共感度が高く、見応えのある動画を作っていきたいと思っています。


「『anan』らしさ」を動画でどう表現するか。インタビューの中で、その問いに対する編集部の姿勢は非常に明確でした。誌面やWebを超えて、多角的に世界観を発信する取り組みは、雑誌の新しい可能性を示していると感じます。今後の展開が、ひとりの読者としても楽しみです。

 

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